事業性評価 その2

(その1からの続き)
「財務ではなく事業を見る」なぜなら、企業価値の根幹は事業そのものだからです。
財務情報とは過去の情報に過ぎず、将来を約束するものではありません。ある時点の健全性だけを審査し、または財務情報だけで企業や事業者を判断するという審査方法は、これからの人口減少や少子高齢化社会、多様化する人生観、消費性向の変化、顧客ニーズに対して競争相手よりも素早い対応が求められている今の時代にマッチしていないと金融庁は判断し、事業性評価を推進しています。
事業内容を見て経営課題の解決や企業の成長に向けて一緒に取り組む、あるいは担保・保証に過度に依存せず、適切なリスクを取りながら企業の将来に対して持続可能なビジネスモデルを検討できる目利き能力を金融庁は金融機関に期待していますが、現場からはどうも戸惑いの声が聞こえてきます。なぜなら、いきなり「事業性評価をやれ!」と言われて、「はい、わかりました」と簡単にできるものではないし、企業規模・受注形態(元請け・下請け・孫請け)・業種・社長の経営方針など、千差万別にある事業形態のすべてを目利きするのはとても大変な作業だからです。
そこで、顧問先と普段から接している我々税理士が、金融機関が事業性評価しやすいような資料を提示できたり、綿密な事業計画が立てられる能力を身につけておくことがとても重要だと思っています。また、金融機関に対する事業性評価にという面だけではなく、顧問先と税理士が一緒になって成長できるビジネスモデルを構築できれば最高だと考えています。
(参考文献:捨てられる銀行)