トーマス・エジソン氏
「天才とは1%のインスピレーション(霊感)と99%の努力(汗)だ」とエジソンは言った。「人間努力さえすれば、必ずいつかは成功する」という意味として一般的に解釈されているが、ある雑誌の取材でエジソンは次のように答えている。
「私は1%のインスピレーションがなければ、99%の努力は無駄になると言ったのに、世間は私の言葉を都合のいい美談に仕立てあげ、私を努力の人と美化し、努力の重要性だけを成功の秘訣と勘違いさせている。
この小さな鉄のボールを見たまえ。これは私が仕事中に睡魔に襲われて眠ってしまったとき、このボールが手の中から床にドスン!と音を立てて落ちる。すると、その音が目覚ましかわりになって、私はハッと目が覚める。その瞬間、突然インスピレーションが閃くことがあるんだよ。そのために私はこの鉄のボールをいつも持っている。私がインスピレーションをどれだけ大切にしているか。インスピレーション、そしてアイデアこそが、あらゆる成功の根底にあるものなのに、全く困ったものだ。
私は子どもの頃、教育についていけないという教師の勝手な判断で学校に通えなくなった。どうしてだと思うかね?その頃私はナゼナゼ小僧と呼ばれていてね、木がなぜ水に浮くのか?あんなに重たいものがどうして浮くのかが知りたくて、しつこいほど周囲の大人に聞いた。多くの疑問が次から次へと頭をよぎった。あまりに質問をしすぎるから、頭がおかしいと思われて小学校を退学させられてしまった。そして、私が発明家という道に進んだのは、このナゼ?の延長にある答えをインスピレーションによって解決したときの喜びを持ち続けられたからだ。インスピレーションは私の才能であり、その才能を努力によって伸ばしたことによって、現在の成功があるんだ」と。
努力はいかなるときにも欠かせない成功要因であることは言うまでもない。そして成功は「何をどのようにやるのか?」にかかっているが、「どのようにやるのか?」ということを惜しみない努力とするならば、「何を?」に相当するのは、才能に根ざした職業の選択のことであり、いちばん重要なことは「どのようにやるのか?」ではなく、「何をやるのか?」という選択なのだ。