試算表の位置付け

試算表は現在位置と目的地を確認するためのナビゲーション
当事務所では、財務分析をあまり行っておりません。その理由は下記の通りです。
〇現代社会は店やモノで溢れかえっており、各社が提供している商品やサービスに大きな差が生じにくくなってきています。また、AIやITなどの進化や今までに経験したことがない少子高齢化などにより、社会変化が激しく、かつ不確実性が高い時代でもあります。このような状況下において過去の数字の延長線上で経営を行っていて、業績が将来に渡って順調に推移していくのでしょうか?当事務所では『過去の数字はあくまで参考』という位置付けで対応しています。(商品利益率、人件費率など全く見ないというわけではありません)
仮に車で出発してから1時間後ナビで現在位置を確認したとき、出発地点から現在位置を確認される人はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
〇現在の会社状況がどうなっているのかを把握するツールとして、試算表は大いに役立ちます。ただし、「過去と比べて売上・利益が上がっているから、このままの調子で将来も上がり続ける」と予想して人材・設備を増やすのは危険です。なぜなら、他社も同じ市場に参入してきて競争が激しくなったり、新商品が導入されて今まで売れていた商品が見劣りするなど自社の周りの環境が変化して、主力商品が売れていた市場が縮小する可能性が充分にあるからです。
〇不確実な時代を生き抜いていく(事業を継続する)には、移り変わる顧客の状況や外部環境・同業他社の動向をチェックし、将来へ向けた対策を打ち続ける必要があります。
自社が目的地(売上目標、利益目標など)へたどり着く順路(売上方法、販売経路、商品など)は今のままで最適かどうかを常に考え、必要に応じて修正・進化させていく発想がとても大切だと確信しています。

よって、『過去』を主とした財務分析にあまり力を入れていない理由は『過去』の振り返りよりも『将来』に目を向けることの方が何倍も大切だからとの考えからです。