事業性評価 その1

金融庁が説明する事業性評価とは、「財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して行う融資のこと」とされています。
金融機関が取引先企業と正面から向き合うことによって、企業の強みや経営課題を発見し、その改善や業績向上を支援し、資金ニーズ(融資)に繋げる。そのためには、企業の事業内容をよく知ることが重要といわれていますが、財務データ以外を含めて顧客の実態把握をしようという取組みは、実は10年以上も前から始まっています。(リレーションシップバンキング)10年以上も前から提唱されているのに何故成し得なかったのか?
幾つか原因が考えられますが、1つは金融庁が不良債権処理を最優先課題と位置づけたため。もう1つは、金融機関が担保・保証付きの長期融資にこぞってシフトしたため。
そもそも、保証協会付き融資は不良債権処理に伴って発生した銀行の「貸し渋り」や「貸し剥がし」解消策として拡充されましたが、金融機関としては保証協会付き融資を実施していれば、万が一事業者が返済できなくなった場合でも保証協会が実質100%代位弁済してくれるため、企業の事業内容や資金繰りなどを厳格に審査せず、「保証協会付きで貸せばいい」といった風潮が蔓延してしまったと予想されます。
保証協会付き融資は元金・利息・保証料の支払いが発生するため、長期的には資金繰りが厳しくなる可能性があります。しかし、銀行は「担保・保証に依存した融資をしていれば安心」「低金利の貸出こそ企業や事業者が求めているため、低金利を武器にした貸出をすればOK」と考え、担保・保証ありきの融資に奔走し、企業への訪問回数は減り、企業の事業を見極めることをあまりしなくなったと思われます。
こういった現状を打開すべく金融庁が打ち出した一手が、今回の事業性評価であります。
(その2へ続く)

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